遊牧民絨毯

素朴なテクスチャーで温もりのある空間を・・・。


遊牧民の絨毯「ギャベ」

ペルシャ南部シラーズ近郊から山岳地帯で今尚、遊牧生活を営むカシュガイ族やルリ族は手紡ぎの羊毛で水平織機と呼ばれる原始的な機を使い、「ギャベ」と言う分厚い絨毯が織られています。天然羊毛ならではの吸湿発散性や保温・断熱効果に優れ、厳しい大自然に暮らす遊牧生活にとって必需品であり、絨毯のルーツを辿る上でも貴重な存在といえます。
全てが自然のままに作られ、素朴な趣のあるデザインとテクスチャーは現代生活者にとって新鮮な癒し系アートとして心をとらえます。



【南ペルシア遊牧民】
イラン全土の遊牧民は1988年調査で、96の部族(tribe)、547の氏族(clan)、約115万人の人口でした。1991年調査による居住地不定者は約36万人で、調査基準は異なりますが、遊牧人口は減少の一途を辿っているようです。南ペルシアのギャッベと関係のある遊牧民は、ロル族、バフティヤーリー族、ガシュガーイー族、ハムセ連合などです。現在、ギャッベ絨毯のほとんどは、ガシュガーイー族によって織られています。また、これらの遊牧民は、ギャッベ(ギャベ)のほかにキリムやさまざまな平織りの敷物もつくっています。

    
ギャッベ(Gabbeh)とは
イラン高原の西側を背骨のように南北に連なるザーグロス山脈。この南ザーグロス山脈一帯を生計の舞台とする南ペルシアの遊牧民、ロル族、バフティヤーリー族、ガシュガーイー族、そしてハムセ連合などによってつくられているユニークな絨毯があります。それがギャッベ絨毯です。ギャッベとは、ペルシア語のファールス地方の言葉で、「長い毛足をもつ絨毯の一種」のことを指し、古くは16世紀の文献にも記されています。この絨毯が世界に知られるようになったのは、比較的最近で、1970年代になってからのことです。ギャッベの、ペルシア絨毯とは一味もふた味も違ったデザインは、「アートそのもの」といった評価を得て、欧米で大ブレークしました。

   

   

ギャッベの魅力
まず、見た目の魅力。モダン・アートの染織芸術品と見紛う、シンプルで、強烈なインパクトのあるデザインは、ギャッベならではのものです。素朴で、原初の香り高いデザインは、懐かしさと微笑ましさをもたらしてくれます。また、通常なら欠陥品とみなされる染めムラや織りムラは、遊牧民絨毯特有の大きな魅力で、ギャッベも、その人間の手づくりらしい味わいを引き継いでいます。ギャッベの色あいは陽気な明るさを持ちあわせながら、合成染料のようなどぎつさのない自然な草木染めです。そして、手織りであることはもちろん、ウール100%、糸は手紡ぎ、染色も天然染料にこだわったエコロジカルな絨毯ということで、広く世界中に受け入れられるようになりました。


    


    


    


遊牧民たちが生活するイラン南部山岳地帯の風景。夜は氷点下で昼間は40度を超えることもあり、1日の寒暖の差がなんと40度以上にもなることがあるそうです。テント生活では寒さや暑さから身を守る為、敷物は生活必需品と言えます。このような厳しい自然環境での暮らしの中からギャッべが誕生しました。